上から話を落とすだけでは人は動かない

元AKB48でモデル・タレントの小嶋陽菜が手掛けるブランド「ハーリップトゥ(HER LIP TO)」は、4月13~14日に東京・青山でポップアップストアを開催する。小嶋自身も店頭に立って接客する予定だ。同ブランドは2018年6月にスタートし、主に自社ECサイトで販売。これまで、トランクホテルや伊勢丹新宿本店でもポップアップを行ってきたが、どちらも盛況だったという。ポップアップストア開催前日に、小嶋に話を聞いた。

「ハーリップトゥ」立ち上げの経緯は?

AKB48を卒業したのがちょうど2年前。卒業してこれから何をしようかと考えた時に、自分のメディアを立ち上げたいなと思いました。そのメディアの中で、オススメのアイテムや自分で作ったお洋服を紹介できたらいいなと考えたのが始まりです。初めは軽い感じで、服を数型作りたいと思っていました。今はちゃんと“アパレルブランド”みたいな見え方になっていますが、最初はそんなつもりはなくて、小さな規模でやりたかった。でも、アパレルだから小さくやるのが逆に難しいんです。業界に詳しい人たちにいろいろ相談しながらブランドを進めてきて、今回たくさんコレクションを出せました。

ブランドを立ち上げるにあたって、どんなことが難しかった?

もう難しいことしかない!アパレルって本当に大変だと思う。ただ、アパレルだけをやりたくてブランドを作ったわけじゃなくて、コミュニティーとかカルチャーみたいなものを作っていきたいと思っています。そういう中で服は大切なピースなので、今は服が先行しているという形です。

ファッションを本業としている企業と組むのではなく、自身の事務所でブランド運営していると聞いて驚きました。他社と組むのではなく、自分でやろうと思ったのはなぜ?

自分がどれだけブランド運営に関わるかでモチベーションが変わるので、(企業と組んでプロデュースするという形ではなく)ちゃんと全部の流れや商品を把握して、自分が出したい商品だけ出したいと思いました。それで所属事務所でやることに(笑)。このやり方がビジネス的にいいのかどうかはまだ分からないんですが、一生懸命やっています。自分が上から話を落とすだけでは周りの人を動かすことはできないので、ちゃんと現場で把握したい。うちの事務所は小さな会社なので、私の思いを聞いてくれますし、応援してくれる。マネジャーもアパレル業界の人じゃないのに一生懸命走り回ってくれて、すごく感謝しています。

業界に詳しい人に相談しながら作っているというのは、具体的にどんな人たちのこと?

生産関係に詳しい方にいろいろ相談しています。あと、ブランドを立ち上げた時はスタイリストの佐々木敬子さん、風間ゆみえさん、白幡啓さんが一気に集まってくださって、ご飯を食べながら相談に乗っていただきました。周りにD2Cブランドをやっている方もすごく多いので、EC専業ブランドとして、そういったインターネット界わいの方たちにもアドバイスをいただいています。

普段、デザインはどんな風に思い付くことが多い?

ブランドコンセプトは“私が今着たい服”です。デザインは旅行の計画を立てている中で思い浮かぶことが多い。今度どこどこに旅行に行くからこういう服を持っていきたいとか、ビーチに行くからこの水着が着たいとか、そういうのを考えるのがすごく好き。そこからデザインを考えます。でも、もちろんリゾート地だけではなく街でも着られる服になっています。

ドレス中心のブランドにしたのはなぜ?

私が小さい頃からワンピースが大好きだから!フリルいっぱいの、「一体どこに着ていくんだろう…」って思われるようなワンピースを、小さい頃から家の近所で着ていました。上下セパレートの服よりも、ドレスを1枚ぱっと着た時の方が華やかさにワクワクするし、そういう気持ちをみんなと共有できたらいいなと思って作っています。

自分が作りたいものと、世の中で求められるものやウケるものとのバランスはどうとっている?

それはみんなを説得したり、提案したりしていくしかない。たとえば、私のファンである25歳からアラサーぐらいの女の子って、みんなボトムはミニ丈を好むんです。でも私はミニは普段はかなくて、長いスカートの方がシルエットがきれいだと思う。でも、「ロングスカートは引きずっちゃう」といった意見も届きます。そこをSNSを使って説得していく。あとは、「体のラインに自信がないから、ボディーラインが出る服は着られない」という声も届きます。それについても、「このデザインはここがこうカバーされるから着られるよ!」って、インスタグラムのストーリーやツイッターで伝えています。

今日もインスタライブでメイクアップについて中継していました。SNSでの発信にすごく力を入れているし、とてもうまく使いこなしているイメージです。

SNSは用途をすごく考えています。インスタグラムはイメージを作る場所。ツイッターはもっとリアルで、コミュニケーションをしたり、信頼を作ったりする場所だと思っています。アイテムごとの売り上げも自分で見ているので、インスタグラムのストーリーに商品動画を上げるとこんな反応がくるとか、ツイッターではこういう層からリーチがあるとか、すごく考えながら投稿しています。インスタグラムでは、ストーリーをアップする際のテンプレート(型)を作って、ファンの方に着用画像を投稿する時に身長などを書き込んでもらうようにしています。身長によってこの商品はこう見えるというのが分かるから、それをみんなでシェアしています。

みんなの憧れの存在ですが、自分のどういう点をファンは支持してくれていると思う?

みなさんには自然体なところ、媚びないところがいいっていわれるんですけど、でも私はめちゃめちゃいろんな方面に媚びてると思います。こういう人がいるからこれをいっておこうとか、みんなこう思っているだろうからこの言葉を発信しようとか考えているから(笑)。

それをインタビューで明かしてしまうところがまさに自然体です(笑)。小嶋さん自身は、どんな女性に憧れる?

憧れの女性像というか、愛嬌がある人でいたいとはずっと思っています。愛されている感じが出る人でいたい。愛されるためには、それ以上のものをいろんな人に与えていかないといけません。(愛されているかどうかは)見た目からして違う気がする。顔に出ると思います。

ブランドや、自身の活動を通して今後目指すものは?

ブランドとしては実店舗の出店は考えていなくて、今後もECと今回のようなポップアップストアを行っていきます。アイテムは、お洋服だけでなくコスメなどにも広げていきたい。もともとコミュニティー作りの一環としてブランドを始めましたが、それは少しずつできてきました。次はコミュニティーを“箱”に入れることが必要。オンライン上で、コミュニケーションスペースのような場を作りたいと思っています。あと、これまでいろんな人にチャンスを与えてもらってきた分、その人に恩返しするのももちろんだけど、下の世代に私の経験をつなげていきたい。そういう活動も行っていきたいから、「ハーリップトゥ」の中で、ブランドをやりたいと思っている若い子の背中を押して、そういう子が手掛けるブランド内ラインを立ち上げるのもいいかもしれません。

モンクレールが快進撃 全世界で売り上げ2ケタ成長

モンクレール Tシャツ コピーの2018年12月期決算は、売上高が前期比18.9%増の14億2007万ユーロ(約1775億円)、純利益が同33.1%増の3億3249万ユーロ(415億円)と引き続き増収増益の好調な業績となった。

地域別の売上高では、ヨーロッパと中東、アフリカを合わせた地域が前期比14.6%増の5億7545万ユーロ(約719億円)、南北アメリカが同16.2%増の2億2848万ユーロ(約285億円)、そしてアジア全体とその他の地域が同24.3%増の6億1613万ユーロ(約770億円)となり、いずれの地域でも2ケタ成長となった。

レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「1年前に事業戦略を変更し、非常に満足のいく結果となった。店舗にも顧客にもスタートアップのような熱気がある。うぬぼれるつもりはないが、ブランドコンセプトや製品に新鮮味があり、誰もが大満足していると感じる。18年2月に始動した『モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)』プロジェクトでは、今までとは異なる製品やアイデアを展開して若年層の取り込みに成功した。当社は常に高い品質を維持し、さらに改善するべく尽力している。販売網に関しても、よりよいロケーションに店舗を移転させるなどの努力を重ねている。イタリア証券取引所に上場して5年になるが、高い実績を上げられたことを誇りに思う」と語った。

ロベルト・エッグス(Roberto Eggs)=チーフ・マーケティング&オペレーティング・オフィサーは、「『モンクレール ジーニアス』は当社で初のデジタルネイティブな製品で、従来では不可能なほど大幅に顧客とのコミュニケーションを促進してくれた」とコメントした。

2月のミラノ・ファッション・ウイークで、「モンクレール ジーニアス」はミラノ中央駅沿いの高架下にクリエイターごとのスペースを用意し、コレクションをインスタレーション形式で発表し、大成功を収めたという。エッグス=チーフ・マーケティング&オペレーティング・オフィサーは、「『モンクレール ジーニアス』で7~9%の成長を目指したい」と意欲を見せた。19年中には、ヨーロッパと日本に「モンクレール ジーニアス」の店舗を1つずつ新規オープンする予定で、「モンクレール」は同じく今年中に直営店15店舗のオープン、ショップインショップ15店の追加、そして既存15店の改装を予定している。

ルッフィーニ会長兼CEOは、「19年は経済および地政学的な不透明感がさらに増す可能性があるが、困難に直面した時こそさらに強くなれると思う。世界中の多様な消費者に向けて、今後もインクルーシブで魅力的な製品を提供していく」と述べた。

米ポップアートで人気急上昇中のへブル・ブラントリーを直撃

現代アーティストのへブル・ブラントリー(Hebru Brantley)は6月1日まで、日本初の個展「GREAT DEBATE」を東京・銀座の画廊メグミオギタギャラリーで開催中だ。現在、米ロサンゼルスを拠点に活動するブラントリーは、シカゴ出身の37歳。クラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得し、21~22歳の頃に本格的にグラフィックアートを志した。「アディダス(ADIDAS)」や「ナイキ(NIKE)」「ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)」など、ファッションブランドとも協業し、米ロサンゼルスで開催された「コンプレックスコン(COMPLEXCON)」では「ビリオネア ボーイズ クラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB)」とコラボしたTシャツやフィギュアを販売して即完売。身長204センチメートルと大柄な体格からは想像できない繊細なポップアートは、ストリートファッション界隈で着実にファンを増やしている。今回の展示作品12点もほとんどが売約済み。今年中に大規模な個展も計画中だというブラントリーに話を聞いた。

僕は本質的にクリエイティブな人間だから、絵を描き始めたのはすごく自然な流れだった。最初は、グラフィティーから始めたけど、今はペインティングでギャラリーに飾るような絵を描いている。アウトプットの方法が変わっただけで、自分にとっては映画もペイントも特に変わりはないよ。

今回の日本滞在中に三鷹の森ジブリ美術館に行きたいと聞いたが、日本のキャラクターで影響を受けたモノは?

一番は「鉄腕アトム」。どのペイントもアトムのキャラクターやポージングから影響を受けている。ミッキーがモチーフの絵もどこかに鉄腕アトムから得たインスピレーションをミックスしている。

オリジナルキャラクターの“FLYBOY”や“LIL MOMMA”も鉄腕アトムがモチーフ?

モチーフの影響は受けているけど、インスピレーションを得たのは第二次世界大戦中に組まれた黒人だけのパイロットチーム“タスキーギ・エアメン(Tuskegee Airmen)”なんだ。それにアメリカのアニメやコミックには、黒人のキャラクターが出てこない。だから僕がキャラクターを作ることにした。

「コンプレックスコン(COMPLEX CON)」創業者のマーク・エコー(Marc Ecko)が主宰する非営利団体「XQスティチュート」にキャラクターを提供している。

マークは教育に力を入れていて、「XQスティチュート」の発信しているメッセージにすごく共感しているからね。僕がやっていることも彼らのメッセージを通して発信できると思っている。

今年の「コンプレックスコン」はブラントリーの出身地であるシカゴでも開催されるが何か関わる?

ちょうどシカゴの「コンプレックスコン」のすぐ後に、「ネバーモア(NEVERMORE)」という僕自身が主宰するアート展を開催するからスケジュール的に断念した。アート展は「不思議の国のアリス」みたいな大きな扉が入り口にあって、それを開けると世界観が広がるようなエキシビションにしようと思っている。

「アディダス」や「ナイキ」「ベイプ」ともコラボしているが、ファッションと相性のいいキャラクターについてはどう考えている?

全てがキャラクターとマッチしているわけではないからブランドによって形を変えることが必要だと思う。

今後決まっているプロジェクトは?

12月にマイアミで開催されるアート・バーゼルに参加する。そこではスカルプチャーやフィギュアも用意しようと考えている。あと、来年は映画を撮るんだ。ただし、アニメーションではなくて、ライブアクション。ポップアートの活動とは別になる。

今回は日本に長期滞在すると聞いたけど、その間にやりたいことは?

日本のカルチャーをたくさん吸収したい。ショッピングも楽しみにしているけど、僕は体が大きくて洋服のサイズが合わないから、日本のオモチャにすごく興味がある。中野ブロードウェイとか楽しみだね。

「アディダス」 × 「エンダースキーマ」新作 バッグやキャップなど初の小物も

「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」は、東京発のフットウエアブランド「エンダースキーマ(HENDER SCHEME)」とコラボレーションしたカプセルコレクションを11月24日に発売する。3度目となる今回のコラボでは、「アディダス」のランニングシューズをベースにデザインしたフットウエア3型(2万8000円、4万円)の他、キャップ(9990円)やシューケース(4990円)、トートバッグ2型(大1万2000円、小7990円)など初の小物類をラインアップする。

フットウエアは全て「アディダス」が1984年に開発した“ZX 500”をベースに、「エンダースキーマ」の特徴でもあるベジタブルタンニンレザーを採用。フルレザーで再構築したモデルと、2種類のレザーにメッシュアッパーとコード式のシューレースを組み合わせたモデルを用意。小物はメッシュなどの機能素材とレザーを組み合わせたアイテムをそろえる。

商品は「アディダス オリジナルス」の旗艦店や「エンダースキーマ」の旗艦店スキマ恵比寿、伊勢丹新宿本店、ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)、ユナイテッド アローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS)で数量限定で取り扱う。スキマ恵比寿では11月6日まで商品を展示する特設ルームを設け、店舗では6日の20時まで、オンラインストアでは11日の20時までフットウエア3型の販売抽選を行う。